今回は、「本を読む」という時間の価値をどうすれば大きくできるだろうか?という問いを持ち、オススメの読書法について紹介します。
ビジネスフレームワーク図鑑を手にとってくださる方々、そして日々の生活の中で本を読む機会のある方はぜひチェックしてみてください。
オススメの読書法
問いを持って本を読む
さて、編集部がオススメする読書法のポイントは、一言で言えば「問いを持って本を読む」ということです。
「問いを持って本を読む」とはつまり、ただ何となく漠然と本を読むのではなく、その本から何を得たいのかを考えてから読むという方法です。かっこよく命名すると「探究する読書」といったイメージでしょうか。
具体的な流れについて、実際に編集部の読書会で使用しているフレームワークを用いて追いかけていきます。本記事の最後にダウンロードデータも掲載しておりますので、よければ活用してみてください。
探究する読書の進め方
本を読む目的を決める
まずはじめに、本を読む目的を考えます。大きく2つ、「なぜこの本を読むのか?」という問いと、「この本を読んでどうしたいのか?」という問いについて考えます。これはどの本を読む際にも共通して持っておきたい問いと言えます。
前者の「なぜこの本を読むのか?」という問いは、どんな課題や背景、想いがあってこの本を読むのかという目的を明らかにしてくれます。
そして「この本を読んでどうしたいのか?」という問いを考えることで、本を読んだ後どのようなアクションを起こしたいのか、そのためにどのような具体的な情報をインプットするのかという出口を掴んでおくことができます。
これらの問いを考え、本を読む目的を明らかにしてみてください。その上でもう一段階具体的な問いを設定していきます。
問いを考える
次に、具体的な問いを考えていきます。具体的な問いとはどういうことかというと、読む本のテーマにもう一歩踏み込んだ問いということです。
例えばビジネスフレームワーク図鑑を手に取ると想定した場合、下記のような問いを考えることができます。
<問いの例>「自社のファンを増やすにはもっとユーザーの声を聞くべきか?」「スタッフのモチベーションを高めるにはもっと優しく接するべきか?」
下図のようなテンプレートを掲載しておきますので、まずこの問いを思いつくだけ書き出してみてください。問いと表現してはいますが、「知りたいこと」「疑問に思うこと」を書き出していくくらいのイメージで構いません。まずは箇条書きで書き出していくと良いでしょう。
なお、ここで問いが出てこない場合、上述した「なんのためにこの本を読むのか?」という部分の設定が曖昧な可能性が高いため、問いが出てこない時は改めて何のためにこの本を読もうとしてるんだっけな?と考えてみてください。
仮説を持つ
さて、問いが書き出せたら、次はその問いに対する「仮説」を立てます。仮説とは「自分が思う仮の答え」のことであると、ここでは定義しておきましょう。
例えば上述の例で言えば下記のような仮説を対応して考えることができます。
<仮説の例>「自社のファンを増やすにはもっと丁寧にユーザーの声を聞くべきである。商品を購入してくれた人だけでなく、購入してくれなかったユーザーの声を拾うことが必要だ。」「スタッフのモチベーションを高めるには今、優しさよりも厳しさが必要だ。優しさだけではゴールまでたどり着くことができないのでモチベーションが続かないと思う。」
仮説を立てる際は、「自分はこう思う」というスタンスを取ることが重要です。そうすることで、自分の考えとの共通点、違う点を著者の考え方とぶつけ合わせながら高めていくことができるようになります。
仮説についてもただぼんやりと思い浮かべるのではなく、一度言葉として書き出しておくことをオススメします。下図のシートをダウンロードできますので、問いと仮説をセットでメモしておきます。
問いをたくさん書き出している場合、特に気になる魅力的な問いをピックアップして、その問いに対する仮説を立ててみると良いでしょう。
本を読む
問いと仮説が設定できたら、いよいよ本を読み進めます。自分の立てた問いや仮説が正しいかどうか、参考になる情報はないかを探索していくイメージで読みます。
書籍の中に書いてある情報で参考になった点、初めて知ったキーワード、そこで自分が考えたことなどをメモしていきます。
なお、この読書法の中では必ずしも本の全てを読む必要はなく、前から順番に読まなければいけない訳でもありません。自分の欲しい情報がどこにあるかをまず探し、そこを中心に読み解いていきます。重要なのは、自分の立てた問いと仮説を検証していくスタイルで情報や考え方を吸収することです。
自分の考えを整理する
本の中に書いてある情報をもとに仮説を検証したら、その上で再度、自分の考えを整理してまとめます。本を読む前の考え方と変わっていたり、あるいは解像度が上がっていたりする要素をここできちんと言語化して残しておきます。
自分の生活スタイルや仕事の仕方、人間関係の築き方など、目的とするアクションの中に取り込める形に編集しましょう。
ここでアウトプットのイメージが湧かない場合、冒頭で立てた大きな問い「この本を読んでどうするのか?」の設定が曖昧であると考えられます。本を読んだものの、というところで詰まってしまう場合は、改めて「この本を読んでどうするのか?」について考えてみてください。
読書シートのテンプレート
今回登場したシート類のテンプレートを掲載しています。パワーポイント版を掲載しておきますので、アレンジが必要な場合は加工してご活用ください。
テンプレート:読書シート
流れの振り返り
以上、編集部オススメの読書法の流れでした。良さげだなと思っていただけたらぜひ試してみてください。
<流れ>
本を読む目的を決める
問いを考える
仮説を持つ
本を読む
自分の考えを整理する
おわりに
問いを持ってから入る読書法はいかがでしたでしょうか。もちろん、この読書法を強制したい訳ではありません。事前に計画した旅行があれば、目的も予定もなく出かける旅があるように、「本を読むこと」「本との出会いの旅」もまた、様々な楽しみ方があるでしょう。
様々な本の読み方がある中で、一冊の本にじっくりと向き合ってみたい、著者の考え方を少しでも多く自分の中に取り込み、活かしてみたいと考えている方にとって、一つの参考になっていれば冥利に尽きます。
また、今回紹介した読書シートの形式はブラッシュアップしていきたいと思っておりますので、フィードバックなどいただけましたら幸いです。
ビジネスフレームワーク図鑑
ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70
オススメ本
さらに、当記事の中で登場した「問い」「仮説」について考える際に、オススメ書籍を掲載しておきますので、よければ合わせてチェックしてみてください。