こんにちは!探究.com編集部です。今回は、商品開発やサービス開発を行う際に使える、戦略設計のフレームワーク「戦略キャンバス」についての投稿です。
競争のない市場を開拓して生存戦略を考える「ブルーオーシャン戦略」に欠かせない思考ツールの一つです。戦略について考える機会がある方はぜひチェックしてみてください。
戦略キャンバスを使って戦略を設計する
戦略キャンバスとは?
戦略キャンバスとは、競争要因を抽出し、競合や自社がそれぞれの要因に対してどの程度注力しているかを可視化する手法です。競合が注力している要因との差別化を考えることで、競争のない市場「ブルーオーシャン」を開拓することを目的として活用される思考ツールの一つとなります。
戦略キャンバスの活用手順
競争要因の抽出
まずは自社が事業を展開している市場における競争要因を抽出します。ここでは、写真館事業について考える場合の例を見てみましょう。
例の場合は、「価格」「スタジオのデザイン」「スタッフの対応」「プロモーション」「関連商品」「納品の早さ」「フォロー」という7つの要因を抽出しています。
競合各社の価値曲線を可視化
次に、抽出した要因それぞれにおける、競合の注力状況を整理して可視化します。それぞれの値を下図のように直線で結ぶことで視覚的に捉えやすくします。なお、このようにそれぞれの要因の値を結んだ線を「価値曲線」と呼びます。
上図の例では複数の競合の平均値を一本の線で表現していますが、競合毎の線を複数記入する形でも使用します。より各社毎の戦略状況を可視化したい場合は、平均化せずに個別のまま記入します。
自社の現状の価値曲線を可視化
自社の戦略を同じように価値曲線として可視化します。
この時、もしも上図のように競合の価値曲線と自社の価値曲線が近似していた場合、競争の激しいレッドオーシャンで戦っているということを意味します。レッドオーシャンで戦おうと思うと、価格競争になったり、大量の認知獲得コストを投下することになるなど、摩耗が激しく、資源を持っている企業優位となります。
新しい価値曲線を考える
競合と自社の戦略キャンバスを可視化した上で、どのように差別化することができるかを考えます。新しい戦略を描く際のアイデア出しの切り口としては「取り除く」「減らす」「増やす」「付け加える」の4つが有効です。このうち「取り除く」「減らす」は主にコスト削減、 「増やす」「付け加える」は付加価値の創出に貢献します。
上図の写真館事業者の例では、写真好きのコミュニティ形成を付加価値として生み出すことで、競合との差別化を図る戦略を練っています。自社の属する市場の競争要因を書き出し、競合と差別化する戦略を考えてみましょう。
おわりに
以上、戦略設計に使えるフレームワーク「戦略キャンバス」【商品・サービス開発】についてでした。ビジネスを運営する以上、競争は避けて通れないものですが、競争することは目的ではなく、価値を創造することが目的です。
無理に「勝とうとする」のではなく、「独自の価値を創造すること」に信念とプライドを持っていたいものです。線略キャンバスは、差別化戦略を考える上ではもちろん、「独自の価値を考える」ためにとても有効な手法です。ぜひ自社の事業設計に活用してみてください。
参考文献
当記事の作成にあたり、W・チャン・キム教授らの著書『ブルーオーシャン戦略』を参考にしています。本格的にインプットしたいという方はこちらの書籍をチェックしてみてください。