こんにちは!探究.com編集部です。今回は問題解決に活用できる思考法の一つ、システム思考についての投稿です。
問題解決の現場では、AだからBといったシンプルに結論が出せるものではなく、もっと要因が複雑に絡み合った問題が溢れています。そこで、一つ一つの問題や要因を独立して考えるのではなく、全体を一つのシステムとして捉えて解決策を考えるシステム思考が求められます。
問題解決にトライする機会のある方はぜひチェックしてみてください。
問題解決に活用したいシステム思考
システム思考とは?
システム思考とは、現場に存在する一つ一つの問題を独立した出来事としてではなく、お互いに影響を及ぼし合う一つのシステムとして捉え、問題の解決策を考える思考法です。目の前の問題に対処的に反応するのではなく、そもそもの問題が生まれる構造やモノの見方(メンタルモデル)を突き止め、根本レベルからの解決に取り組む考え方となります。
出来事ではなく構造に着目する
例えば「スタッフが辞めて人手が足りなくなった」という問題があったとして、「採用数を増やす」という施策を取るとします。短期的にはそれで解決できたとしても、根本の構造的な原因が特定できていなければまた同じ問題が発生したり、長期的にはむしろ逆効果になってしまう可能性があります。システム思考ではこのように、目に見える問題に反射的に対応するだけではなく、構造に着目します。
出来事や構造の関係については下図のような氷山モデルで表現されます。
以下、それぞれのステップについて見ていきたいと思います。
システム思考を活用手順
課題の設定
まずはじめに、どのような課題について考えるのかを設定します。例えば「スタッフが辞めていく流れを食い止めたい」「ブランド力を高めたい」「定時で帰ることのできる業務体制をつくる」など。
できごとの確認
設定した課題を考えるにあたり、現状、どのような問題が存在し、現場でどのような出来事が起きているかを考えます。関連すると思われる要素を洗い出し、数値として可視化できるものは数値として可視化します。例えば「スタッフが辞めていく流れを食い止めたい」と考えているのであれば、どのようなスタッフがいつ辞めたのか、その時、組織の状態はどうだったのか、自分や関係者はどのように行動していたのかといった情報を集めます。
パターンの可視化
発生した問題について、過去にも同じようなことがなかったか、似たような状況はなかったかを考え、パターンを可視化します。パターンについて考える際には、問題を取り巻く要因を時系列で見ます。スタッフが辞める前後で何が起きているか、例えば「新規事業の数が増えた後、多くのスタッフが辞めている」「管理職の移動の後に問題が起きやすい」など、繰り返し起きているパターンを探ります。
構造を考える
可視化したパターンがなぜ生まれるのか、パターンに影響を与えている構造を考えます。要因となる要素と要素の関係性を考えながら、因果関係を可視化していきます。因果ループ図などの手法を用いて、パターンが生まれる構造の仮説を立て、調査や対話を繰り返しながら構造的理解を深めます。
メンタルモデルを考える
構造のより深いレベルでシステムに影響を与えるのがメンタル・モデルです。メンタル・モデルとは、その問題に関わる人々の価値観、信念、モノの見方など、意識・無意識にある前提を意味します。メンバーそれぞれの考え方や過去の経験が、システムにどのような影響を与えているか考えてみます。例えば、社長はとにかく新しい仕事を取ってくるべきだ、スタッフは毎年増やすべきだ、など暗黙の前提を言語化します。
問題の解決策を考える
可視化してきた構造上の問題、メンタルモデルとして抱えている問題を解決する方法を考え、システム全体の動きをより良くする方法を考えます。なお、解決策を考えるというステップは最後であり、まずは「問題の理解」を優先します。適切に問題の構造や影響を与えているメンタルモデルを理解することでこそ、適切な解決策を導くことができるという前提で調査や対話を進めることがポイントとなります。
おわりに
以上、問題をシステムとして捉え構造から改善策を考えるシステム思考【思考法】についてでした。ひとまず本日も、ここまでお読みいただきありがとうございました。よければこちらの記事も合わせてチェックしてみてください。