振り返りの質を高めるために知っておきたい「ダブル・ループ学習」の考え方

こんにちは!探究.com編集部です。業務の質を高めていくにあたり、経験から学習することが大切であるということについては、これまでにも幾度か触れてきました。

今回は、そんな「学習」について考える際に知っておきたい「ダブル・ループ学習」についての投稿です。学習について、学びについて、振り返りの手法について考えている方などはぜひチェックしてみてください。

ダブル・ループ学習の考え方を改善や振り返りに活かす

ダブル・ループ学習とは?

ダブル・ループ学習とは、クリス・アージリス(Chris Argyris)が提唱した思考法です。学びを得るために、行為(アクション)と振り返り(リフレクション)の間を行き来する訳ですが、ダブル・ループ学習は、行為と振り返りの循環の質を高める考え方となります。

振り返りの質を高めるために知っておきたい「ダブル・ループ学習」の考え方

上図はダブル・ループ学習のイメージ図となります。通常、ビジネスの現場において「改善」と称されて実践されているのは「シングル・ループ学習」であり、今回取り上げているダブル・ループ学習はより根本レベルで、外に開いた振り返りの形となります。

シングル・ループ学習とは

まず、シングル・ループ学習とは、もたらされた「結果」と、もともと意図していた戦略や戦術などの「計画」の間で振り返りを行うループです。いわゆるPDCAサイクルを回して改善を行うループと言えます。シングル・ループ学習では、「行為についての振り返り」を行うことになります。

振り返りの質を高めるために知っておきたい「ダブル・ループ学習」の考え方

例えば販促用のLP(ランディングページ)を運営し、月間1,000件の商品購入を目標としていたとします。実際に運用した結果、600件の購入となり目標との間にズレがあったとします。そこから、400件UPするには「キャッチコピーはどうすればどう改善すべきか」「高級感を訴求するにはどんな要素を掲載すべきか」など、ギャップを埋める方法を考え次回に活かす思考となります。

ダブル・ループ学習とは

ダブル・ループ学習では、行動戦略を導き出している背景にある「前提」や「信念」、「価値観」「評価基準」「理論」について考えます。実務的な問題の解決方法、改善方法よりも、設定している課題や目標そのものを再考し、より良い形へと再構築することとなります。ダブル・ループ学習では、そもそも論を問い直し、積極的に変化することによって最適な状態へ進化することを目的とします。

振り返りの質を高めるために知っておきたい「ダブル・ループ学習」の考え方

販促用のLPの例で言えば、そもそも目的とする販売商品の販促においてLPという手段の選択は適切なのか、月間1,000件という目標設定は適切なのか、メッセージを作成する根底にある価値観は正しいのか、といった要素について振り返ります。

ダブル・ループ学習によってシングル・ループ学習を強化する

ダブル・ループ学習を行うことによって、シングル・ループ学習を強化し、最終的な結果をより充実させていくことに繋がります。しかし、日常の業務において、売上や目の前の問題の対処に応戦していると、どうしてもシングル・ループ学習の中に留まってしまいがちになります。

シングル・ループ学習だけでは既存の枠組みの中でしか物事を考えられず発展性が乏しく、外部環境の変化への適用力が高まりません。慌ただしく業務をこなす中でも、じっくりと振り返りを行う時間を確保することがポイントとなります。

おわりに

以上、振り返りの質を高めるために知っておきたい「ダブル・ループ学習」の考え方についてでした。単に行為に対して振り返りを行うだけでなく、振り返りの方法そのものを振り返る、そんなメタ的な考え方がポイントとなりそうですね。より高いレベルでの学習や改善に関心がある方は、ぜひダブル・ループ学習について深掘りしてみてはいかがでしょうか。

それでは、本日もここまでお読みいただきありがとうございました。よければこちらも合わせてチェックしてみてください。

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