こんにちは!探究.com編集部です。今回は問題解決の出発点となる「ニーズ」についての投稿です。有効な「問題解決の手法」も、そもそも問題が発見・設定できなければ宝の持ち腐れです。
そして、その「問題発見」「問題設定」において重要になってくるのがユーザーの「観察」です。「どんなことに困っているだろうか?」「どんなことを望んでいるだろうか?」といった「問いを持って人をよく観る力」を身につけることが、適切な問題の発見、そしてその先にある意義のある問題解決に繋がっていきます。
問題の発見や設定、課題の設定、に悩んでいる方は是非チェックしてみてください。
ユーザーのニーズを観察する
ニーズとは?
「ニーズ」とは、日本語にすると「需要」や「欲求」にあたります。ニーズを把握するということはつまり、人が「どんなことを求めているのか?」「何に困っているか?」を掴むことを意味します。ビジネスの現場においては、ニーズを満たすための解決策(ソリューション)として、商品やサービスを開発して市場に送り出します。そのため、ニーズを的確に把握することは、ビジネスを考える上で非常に重要なのです。
顕在ニーズと潜在ニーズ
「ニーズ」について知っておきたいポイントとして、「顕在ニーズ」「潜在ニーズ」があります。これは、「ニーズ」の種類を一階層細かく分類するもので、「顕在ニーズ」はユーザー自身も自覚しているニーズのこと、「潜在ニーズ」はユーザー自身もまだ自覚できていないニーズのことを意味します。
例えば「髪の毛を切りたい」という明確な顕在ニーズがあり、その背景には「異性にモテたい」という潜在ニーズがあることが考えられます。また、「8ギガのUSBメモリよりも40ギガのUSBメモリが欲しい」という顕在ニーズがあり、その背景に「メモリの残量を気にするという、本質的な業務以外の管理的な作業に意識を割きたくない」といった潜在ニーズがあるかもしれないと考えることができます。
顕在ニーズのみを見ているのではなく、潜在ニーズを考える方が、よりユーザーのニーズを深掘りし、質の高い問題課題の設定、ソリューションの考案に繋がりやすいということがポイントです。
ビジネスアイデアを考える上でニーズの把握が重要であること、そして、ニーズには顕在ニーズと潜在ニーズがあることを掴んだ上で、以下ではそのための「観察」について触れていきます。
ユーザーの行動プロセスに沿ってニーズを観察する
ニーズを把握するために重要なことは、ユーザーを良く観ることです。自社の顧客の持つニーズを知りたいのであれば、商品サービスに触れている間、顧客がどのような表情をし、どのような言葉を発し、どのような行動を取り、何を見て、何を感じているかを観察します。社内の環境を改善したいのであれば、誰がどのような仕事をしており、どのようなことを感じ、考えているのかを観察します。
行動プロセスを可視化・分割して観察に入る
ただし、漠然と「ユーザーを観察する」と言っても、いきなりそれで有効な観察をできる人は少ないでしょう。まず、ユーザーがどのような行動を行うか?という全体の流れを可視化し、それらの主要なプロセス毎に焦点を絞って観察を行います。
例えば、「カフェで談笑するカップル」を観察対象とした場合、「①入店→②メニューを選ぶ→③会計→④席を選ぶ→⑤ドリンクを飲む→⑥二人で話す→⑦退店」というプロセスを大まかに考えることができます。
このように、まずユーザーがどのような行動をとるかという流れを把握することが観察の最初の一歩です。プロセスを分割できたら、それらを意識して、細かく観察していきます。
What→How→Whyの手順でニーズを考察
最初に設定した行動プロセスに沿って、「What (何をしているか)」「How (どう行動しているか)」「Why (行動の目的や理由は何か)」の3つの視点から、顧客の情報を観察して付箋に書き出し、一覧化していきます。
まず「What (何をしているか)」、これはユーザーが何をしているのかを具体的に書き出します。「カップルが席を探す」など。そして「How (どう行動しているか)」、Whatで書き出した行動内容をさらに具体的に書き出します。例えば、「女性が会計を行なっている間に男性が席を探している。キョロキョロしてちょっと困った顔。」といったイメージで、状況を想像できるレベルまで具体化して記録します。
観察した事象の背景を想像する
What・Howに続いて、「Why (行動の目的や理由は何か)」。なぜそのような行動をとるのか、なぜどのような表情を浮かべるのかを考えてみます。例えば「窓際の二人席が理想だがそこが空いていなくて困った」「二人の会話を周辺に聞かれるのが嫌で、感覚の広い席が欲しいと思っている」などと仮説を立てます。
これら「What」「How」「Why」を観察・考察していくことで、ニーズを探索します。Whyを深掘りして考えることで、「潜在ニーズ」へとたどり着きやすくなります。
ニーズの仮説が立てられたらインタビューで確認する
上記のステップで完成するのが「顧客はこんなニーズを持っているのではないか?という仮説の一覧」になります。そこで、観察した内容とそこから導き出したニーズの仮説が正しいかどうを確認するため、実際にヒアリングやインタビューを実施します。
このように、観察・仮説・検証のサイクルを繰り返すことによって、顧客のニーズを深く理解していきます。なお、これらの各ステップの具体的な方法論については、別記事にて紹介していきたいと思っています。
おわりに
以上、ユーザーの行動プロセス毎にどんなニーズがあるかを観察・記録する【調査】についてでした。ニーズを発見すること、それには観察力が必要不可欠であり、さらに、目に見えることからその裏側を「想像する力」が欠かせません。想像力は、ビジネスアイデアを考える時のみならず、日々の業務、プライベートな様々な局面において活きる力となります。
今後、さらに「観察力」や「想像力」を向上させるためのコンテンツを追加していきます。ひとまず、今回もここまでお読みいただきありがとうございました。よければこちらも合わせてチェックしてみてください。
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