対立を受け入れて第三の選択肢を考える思考「弁証法」【思考法】

こんにちは!探究.com編集部です。今回は、アイデアや企画の創出において知っておきたい「弁証法」についての投稿です。

「対話」が重要であるとされる今日この頃ですが、その対話の中では、時に「対立」が生まれることもあるでしょう。その時、その対立を活かせるか、それとも対立によって崩壊するのか、それは自分たち次第。創造的な思考を志す方はぜひチェックしてみてください。

弁証法について

弁証法とは?

弁証法とは、ある特定の意見と、それに対する異なる意見を統合することによって、新たな第三の意見を生み出していく思考のことです。最初にある正しいとされる意見(命題)のことを「テーゼ」、それに反対する意見(命題)のことを「アンチテーゼ」、テーゼとアンチテーゼを統合して生み出された意見(命題)のことを「ジンテーゼ」と呼びます。

対立を受け入れて第三の選択肢を考える思考「弁証法」【思考法】

例えば自由な働き方について考える時、「それぞれが目的に応じた場所で業務を行うべき(テーゼ)」「コミュニケーションを図りやすい顔の見える場所で働くべき(アンチテーゼ)」といった2つの意見があるとします。その時、「子育てや介護など目的に応じて働く場所はバラバラにしつつも、テレビ通話サービスを活用して常時全員の顔が見える環境を作って仕事を行う(ジンテーゼ)」といったアイデアを出す。などの発想の展開が弁証法のイメージです。

正(テーゼ)

まず最初に、元となる自分の意見、考え、アイデアがあります。「正」の段階では、自分の意見や解釈、物事の見方が正しいものであるとし、他者を配慮しているというよりも「自分中心」の考えをしています。

反(アンチテーゼ)

自分の意見やアイデアとは異なる意見が現れ、自分とは異なる物事の捉え方や考え方があるということを認識します。会議でアイデアを出してみたら、反対意見が返ってくるシーンなど。

ここでは、自分の意見と違う意見をきちんと受け入れることが重要です。意見が異なると感情的なぶつかりが生じやすくなりますが、あくまでも「意見が違っているだけ」であって、自分自身の存在や人間性を否定されている訳ではないことを念頭に置いておく必要があります。自分の意見、他者の意見を客観的に捉え、相違点や類似点を冷静に把握できるよう努めます。

POINT
創造的思考においてはこの「反対意見が出てくること(対立)」こそが重要であり、衝突することによって、実は自分の思考が偏っていたこと、他者と自分との関係性、位置付け、自分の思考の限界、他者の視点など、様々なものを獲得する機会であるとされます。ですので、「対立」をポジティブに捉え、健全な対立を生み出せるよう、安心安全な場づくりを行うことがポイントとなってきます。

合(ジンテーゼ)

テーゼとアンチテーゼ、これら2つの意見を統合し、より高いレベルでの最適解を出すのがジンテーゼです。自分の意見と相手の意見、双方を大切にしながら、より広く柔軟な視野を持って発想を行います。

ここでは、自分と相手の意見をじっくりとすり合わせ、お互いの意見の理解、立場や前提の違い、背景やプロスコンスの把握が重要です。このジンテーゼの段階で生み出された意見やアイデアは、主語が「私」から「私たち」に変わったモノになっていることがポイントと言えるでしょう。

おわりに

以上、第三の選択肢を考える思考「弁証法」【思考法】についてでした。問題解決は一人ではできないため、意見は衝突するものです。むしろ、衝突することでより良い意見やアイデアへと発展させていくことができるものです。対立をポジティブに受け入れ、思考を発展させるために、この弁証法の考え方を知っておくことは役に立ちます。

日々の業務の中で、意見が食い違った時は意識してみてください。それでは、本日もここまでお読みいただきありがとうございました。こちらも合わせてチェックしてみてください。

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